僕達、子どもの頃は、東京のお盆といえば7月だったのに此の頃は何処へ行っても8月になり、帰省ラッシュが起きる。 そのお盆の16日。お正月の16日と、年2回「薮入り」という休日があった。丁稚奉公をした者達が近い者は親元に帰り、 遠い者は雇い主に連れられて芝居見物に行ったりすることができた1日。(親元に帰っても1泊だけ)。 落語の「薮入り」という噺に、親元での出来事は出てくるが、実は奉公先では辛いことばかりだったようだ。 11,2才で奉公に出て一人前の手代になるまで10年、その間、寝具は店のせんべい布団、私物の布団が許されるのは8年目から掛け布団を、 そして10年経ってからやっと敷布団が許されるようになる。 着るものとなれば、夏は木綿の単衣と手ぬぐい、冬はやはり木綿の袷せと手ぬぐい、足袋が3足支給されるだけ。 粗末な食事で朝から晩まで雑用に追われて働きずめ。さぞ大変な事だっただろう。 そんな生活での休日、嬉しさは想像以上に違いない。
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