■書簡 その22 カメチャブ
- 森章二
- 2019年9月16日
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輸入牛肉問題で世間を騒がせた牛丼。牛鍋⇒すき焼き⇒牛丼というのが一般的な図式だが、東京ではもう一つルーツがある。 それが「カメチャブ」だ。僕が子どもの頃(昭和20~30年代の中頃)に浅草に行くと屋台で食べさせた汁かけ飯。 汁の中身は牛筋を甘辛く煮込んだ汁の中に長ネギをザクザクときざんで、ほおり込んだ物。これをご飯にかけて出す。 汁は今のすき焼きの汁だと思えば良い。今こそ牛筋は市民権を得て並肉ほどの値段だが、当時、物のない時代でもあまり食べなかった。 すなわち、下等な食べ物だったわけだ。それでも都民の栄養源。皆、よろこんで食べたものだ。 だが由来が面白い。「チャブ」とは、ちゃぶ台、ちゃぶ屋・・でわかると思うが、飯(メシ)のこと。 では「カメ」とは・・・日本に来たアメリカ人が、犬を呼ぶときに 「カメン、又はカモン」と呼ぶ、それを聞いて 犬の事を英語で「カメ」というのだと勘違い。それで犬のことを隠語でカメという。 「犬飯」。これがカメチャブである。決して犬のご飯というわけではない。戦後すぐのこと、おそらくはじめの頃、肉は・・・・ どっちにしても今の牛丼とそんなに変わらなかったような気がする。 牛丼の復活が待たれる、今日この頃である。
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