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書簡 その209 アフレコ

映画のロケーション部分や初期のテレビ映画は、全編アフレコでした。

アフターレコーディングの略で、活動屋用語の一つですね。画像だけ先に撮って音声を後で入れる。

簡単に言うと、撮影した自分の画面を見ながら、声を録音することを言います。

録音機材の発達で、現在はほとんど行われることはありませんが、雑音が入ったり、雨音などで問題が起きたときに、アフレコで・・・という事になります。

これが、意外と難しいんです。アテレコと言って、外国映画等で他人の声に合せるのは、基本的に口が合えば良いので気が楽に出来るのですが

自分の事となると、その時の感情を思い出しながら口を合せるというのは、結構難しいものです。

映画「牡丹燈籠」で、久々のアフレコ。台風四号の影響で荒れ模様。笠に当る雨の音が邪魔で現場ではOKだったのが

編集段階でアフレコになったんです。何十年ぶりですかねぇ。いや~変わりましたねぇ・・・驚きました。

以前は各映画会社にアフレコルームというのがあって、映画の画面を見ながら口を合せる訳ですが

現在はビデオの編集室様な所でテレビを見ながら声を入れるんです。

そして以前は、録音が終わると、アトショリといって、録音部さんの仕事で、他の部署の者はそれでオツカレ様で帰っていくんですが

現在は機器の発達でアトショリなし。その場で編集ができてしまううんです。録音した音を、その場でパソコンで編集できるんです。

しかし、その間 監督を始め関係者全員が待ち。たった一人の技師がパソコンを操作している間、全員がボーッと待っているんです。

一区切りずつは短い時間ですが、区切りの数が多いと、長時間大勢の人が待ちになる。

便利になって仕上げにかかる時間は短く簡単になったとはいえ、何処かにシワヨセは来るもんですね。世の中の縮図を見る思いでした。

スローライフ・・・昭和三十年を懐かしむ声が高まっている昨今、そんな気持ちを実感する一日でした。

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