師匠の辰巳柳太郎の好物で、名古屋に行くと必ず食べる。 40年前に初めて連れて行かれた時には驚いた。土鍋の中に真っ黒な汁、極太のうどんに鶏肉、玉子、葱。 熱いので蓋にとって食べるのだという。そういえば蓋に穴がない。ひと口食べて腹が立った。うどんが生でガチガチ。 文句を言うと、これで良いと言う。こんな物食えるかとほっといたら、オヤジ(先生)が何で食べないと睨んでいる。 仕方なく食べたが馴染めない。二度と喰いたくないと思ったが、師匠のお供で二、三度行く内に、不思議なことに又食べたくなる。 今では家まで送ってもらう程の好物になった。人間とは変な生物だ。
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